任天堂は今期(2021年3月期)の連結営業利益予想(従来予想3000億円)を4500億円に上方修正した。09年3月期以来12年ぶりの高水準となる。家庭用ゲーム機「スイッチ」の世界的な販売好調が寄与する。
営業利益の見込みは市場予想の平均4803億円を下回った。減益予想から一転、増益となる。
今期の業績予想 |
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スイッチの販売目標は本体を2400万台(従来1900万台)に上方修正し、ソフトを1億7000万本(1億4000万本)に引き上げた。このほか業績予想の修正を踏まえて、今期の年間配当予想を1株当たり1260円と従来予想から420円引き上げた。
スイッチは、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、自宅でゲームをする巣ごもり需要が追い風になっている。人気ソフト「あつまれどうぶつの森」の販売が好調で、公式サイトなどではゲーム機本体が一時品切れ状態にあった。関係者によると、任天堂はスイッチの今期の生産目標について、8月初めの約2500万台からさらに引き上げ、最大約3000万台に設定していた。
古川俊太郎社長は5日の決算発表会見で、スイッチの生産は夏以降回復したとし、「現在は全く生産に関して問題ない」と述べた。今年の夏からは中国、ベトナムに加えてマレーシアでも生産を開始しており、「年末商戦で販売計画を達成するための在庫の準備はできている」と強調した。
年末商戦に向けてソニーが12日に次世代機 プレイステーション5を、米マイクロソフトも同10日にXboxシリーズの新型機をそれぞれ投入する予定。17年3月の発売開始から3年半を超えたスイッチとの三つどもえの競争が激化する。
任天堂が発表した7-9月期の連結営業利益は前年同期比2.2倍増の1467億円と市場予想の962億円を上回った。同四半期のスイッチの合計販売台数は前年同期比43%増の685万台となった。
7-9月期の業績 |
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米国モーニングスターの伊藤和典アナリストは、今期の上方修正幅は保守的で「もう一段上げ余地は残している」と指摘。来期以降は巣ごもり需要で獲得したユーザーの維持や、さらなる開拓が非常に大事だと分析した。
エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは今期予想について、スイッチ販売で2700万台以上、ソフトは2億本弱に達すると見込み、「営業利益はおそらく5000億円が最低ラインになるだろう」と話した。
任天堂株は今年3月に3万円台に落ち込んだものの、その後上昇を続け、9月には08年7月以来12年ぶりの6万円台に回復した。足元では5万円台後半で推移している。
(決算発表の詳細やアナリストコメントを追加して記事を更新します)
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