日本銀行は15、16日の金融政策決定会合で、金融機関の気候変動対応投融資を支援する新たな資金供給制度の骨子を決める。エコノミストの過半は、金融機関の利用を促すために残高に応じたプラス付利を適用するとみている。
エコノミスト47人を対象に6-9日に実施した調査によると、気候変動対応オペレーションには「貸出促進付利制度」が活用されると大半が予想しており、利用を促すインセンティブとして残高に応じてプラス付利を行うとの見方が57%を占めた。
具体的な付利水準は、同制度における3つのカテゴリーのうち、中位の0.1%が43%で、現在の最高水準の0.2%は14%。ゼロ%の付利との回答も20%あった。これらの資金供給は、マイナス金利政策が深掘りされた場合、連動して付利水準が上がる仕組みとなっている。
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日銀は中央銀行の立場から民間の気候変動対応を支援していくことが長い目でみたマクロ経済の安定に資するとし、6月会合で新たなオペの導入を決めた。今回の会合後に公表される骨子では、対象の投融資や貸し付け条件、インセンティブの内容など制度の根幹がどこまで明らかになるかが注目される。
日銀は気候変動対応オペを現行の成長基盤強化支援資金供給制度の後継と位置付けている。調査では、貸付期間は成長基盤オペと同じ4年以内が58%、中長期の取り組みが必要なことを踏まえて4年超との回答が40%となった。日銀が民間の対応を支援することが「適当」との回答は72%に達した。
JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミストは、今後の日銀の金融政策運営には日本経済の成長力を高めることを支援していくことが必要だとし、気候変動対応オペも「その一歩とみることができる」との見方を示した。
一方、みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは、中央銀行が中立性に疑義を投げかけられてまで気候変動対応をする必要はないと指摘。「所得・資源配分に介入することの危うさはもっと議論があっても良い」としている。
展望リポート
日銀の金融政策運営は、98%とほぼ全員が今回の会合で現状維持を決めると予想した。次の政策変更に関しては、2023年以降に金融引き締めが行われるとの見方が72%と大勢を占めた。
会合後に公表される新たな「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、東京都に対する緊急事態宣言の再発令などを反映し、21年度の実質国内総生産(GDP)見通しが前回から下振れると見込まれている。消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)見通しは、原油価格の上昇を反映して上振れを予想している。
4月実質GDP見通し | エコノミスト予想 | 4月コアCPI見通し | エコノミスト予想 | |
---|---|---|---|---|
21年度 | 4.0% | 3.8% | 0.1% | 0.3% |
22年度 | 2.4% | 2.5% | 0.8% | 0.8% |
23年度 | 1.3% | 1.3% | 1.0% | 1.0% |
注:実質GDPとコアCPIの見通しは、日銀の4月展望リポートにおける政策委員見通しの中央値
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