10月15日、NTTドコモは14日夕方から続く通信障害について記者会見を開き、原因や対策、今後の再発防止策を発表しました。その中で指摘されたのが、「復旧」と報じられた後もつながりにくい状況が続いた問題です。
通信障害の原因は、設備の切り替えに伴う技術的なトラブルです。手順書に従って元に戻したものの、多数の機器から再接続の要求が殺到。約200万人が完全につながらなくなり、その混雑によってさらに多くのユーザーが影響を受けたとみられています。
携帯電話はライフラインであり、こうした問題自体があってはならないものですが、今回は障害そのものに加えて、情報発信のまずさが混乱を助長したのではないかとの指摘が記者会見で相次ぎました。
時系列で見ていくと、ドコモが通信障害を確認したのは14日の17時ごろ。20時過ぎには報道各社が「復旧」と報じ、Yahoo!トピックスは日テレNEWS24の記事に基づいて20時21分に「NTTドコモ 通信障害から復旧」を掲載します。しかしユーザーからは「つながらない」とのコメントが殺到。「復旧」に疑問を呈する多数の声が上がりました。
ドコモ社内ではどうだったのでしょうか。技術的な対策を終えたのが19時57分。ドコモのWebサイトでは21時5分頃にこの情報を発信したそうです。しかしこの間、ドコモ広報部には報道機関から多数の問い合わせがあったとのことから、口頭でのやりとりを繰り返す中でさまざまなニュアンスで情報が伝わった可能性がありそうです。
その混乱ぶりはアーカイブをたどって確認できます。NHKは20時8分に「すべて復旧」と報じたものの、21時27分には「復旧するも一部でつながりにくい場合も」と表現を変えたことが記録に残っています。実際には混雑でつながりにくい状況にも関わらず、「復旧」という言葉が一人歩きしてしまった印象です。
ドコモによれば、5Gと4G(LTE)が回復したのは明朝5時5分。3Gを含むすべてが回復したのは、通信障害が確認されてから約29時間が経過した15日22時でした。
ユーザー視点に立った情報発信を
携帯電話として最もあってはならないのは「電話をかけてもつながらない」ことですが、それと同じくらい不安になるのが「圏外」です。常につながっていることが当たり前の場所で圏外になることほど恐ろしいものはありません。
障害からの「復旧」が報じられれば、すぐに使えると理解するのが一般的な感覚でしょう。実際には混雑の解消まで長い時間がかかったわけですが、技術的な背景を知らなければ何が起きているのか分からず、自分だけが放置されているような不安を覚えたはずです。
深夜にもつながりにくい状況は続きました。しかしドコモの公式Twitterによるツイートは23時14分の後、次の投稿は翌朝8時36分。社内では21時以降も作業を続けていたものの、状況に大きな変化がなく、深夜の情報発信はしなかったとドコモ広報部は説明しています。もちろん中の人にも休息は必要ですが、何らかの状況報告を待っていたユーザーも多いのではないでしょうか。
時系列で振り返ると、技術的に対策を終えたタイミングはもっと早かったのかもしれませんが、ドコモにはユーザーが正常に使えるようになってはじめて「復旧」と言ってほしかったところです。ユーザー目線に立った情報発信とは何か、改めて問われる事例になりそうです。
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