東証グロース市場上場の MTG傘下で、指輪型の非接触型決済デバイスを手掛ける「エブリング」(東京都中央区)に対し、 三菱UFJ銀行や 伊藤忠商事など10数社が出資を計画していることが分かった。
公表前の案件だとして匿名を条件に話した事情に詳しい関係者によると、将来的な上場も視野に入れた「シリーズA」資金調達の位置付けでエブリングが昨年から募ってきた出資には三菱UFJ銀や伊藤忠のほか、 大和ハウス工業や 凸版印刷など協業を視野に入れた国内の事業会社や金融機関など10数社が応じる方向で、近く公表される。
MTGは31日、エブリングの第三者割当増資による資金調達を公表し、約10億4000万円を調達して増資後の持ち株比率は引き続き過半数を超えるとした。出資先の具体的な社名は明らかにしていない。MTG株は同日、前日比大幅高で取引を開始。一時2月14日以来の日中上昇率となる9.2%高の1347円まで値を上げた。
昨年5月に発売された エブリングはビザの タッチ決済対応でキャッシュレスで買い物の支払いができる。近距離無線通信(NFC)のチップを内蔵しており充電の必要がなく、防水機能も備えているため、装着したまま入浴することも可能だ。3月からは自宅やオフィスなどの電子錠の鍵として使える 機能も追加し、今後もヘルスケアなど多機能化を進める方向だ。
今回のエブリングへの出資には銀行や商社、住宅など多様な企業が名前を連ねており、スマートウオッチに代わる日本発の新たなフィンテック技術に対する期待の大きさがうかがえる。
伊藤忠の広報担当者は出資することは事実とした上で、自社のクレジットカード関連事業との相乗効果を期待して情報・金融カンパニーが出資する予定で、出資額は数億円規模になると述べた。
凸版印刷の広報担当者は30日の取材に、「きょうの時点ではコメントできない」とした。三菱UFJ銀の広報担当者はコメントを控えた。大和ハウスの広報担当者は出資は事実とした上で、スマートリングから生体認証やヘルスケアなどの情報を取得し、そのデータを戸建て住宅にも活用していきたいと述べた。MTGの広報担当者は出資者についてコメントする立場にないと述べた。
MTGは腹筋を鍛える「シックスパッド」のほか、美顔ローラーなど幅広い製品を手掛けており、エブリングの株式約80%を保有。エブリング事業の手応えなどを見ながら、スピンオフの作業に入りたい意向を示していた。
シックスパッドのMTG、指輪型決済デバイスを次のユニコーンに (1)
(MTGの発表や伊藤忠のコメント、株価情報などを追加して更新します)
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