ダイハツ工業の品質不正問題で、国土交通省は21日午前、大阪府池田市にある同社の本社へ立ち入り検査に入った。第三者委員会が指摘した問題点を確認したうえ、試験不正がまん延した経緯の解明を進める。悪質性が高いと判断すれば生産認証の取り消しを含む行政処分を検討する。
21日午前9時ごろ、国交省の職員がダイハツ本社に入った。
ダイハツが20日に公表した第三者委員会の報告書によると、不正行為は1989年以来30年以上にわたって行われていた。新たに判明した不正は安全性や排ガス性能に関する25の試験項目に及び、国内で生産・開発中の全28車種で見つかった。件数は174件に上った。
試験不正が社内でまん延していた疑いが浮上し、国交省は詳細な経緯を調べる必要があると判断。道路運送車両法に基づく立ち入りを決めた。同法は自動車の生産に必要な認証を取得するメーカーなどに対し国が立ち入り検査できると定めている。
国交省が検査で重点を置くのは、第三者委員会の報告書に記載された不正行為の事実認定と不正が行われた背景の解明だ。
174件の不正行為について、報告書は「不正加工・調整」「虚偽記載」「元データ不正操作」と3パターンに分類し、いずれも意図的に行われていたと認定した。
虚偽記載型の事例では、衝撃試験で運転席側の試験結果を書類に記載しなければならないのに、助手席側の試験結果を記載した。担当者は運転席側の試験を実施する時間的余裕がなく「性能に大差はない」と考え、虚偽記載をしたという。
国交省は立ち入り検査で、試験時の書類の分析や関係者への聞き取りを通じて不正行為の裏付けを進める。上層部の関与の有無についても重点的に調べ、長期かつ多くの分野にわたって不正が横行した背景を解明する。
同省は検査で試験不正が認定され、悪質性が高い場合は行政処分を検討する。車両の生産に必要な認証である「型式」の取り消しにつながる可能性もある。
型式指定はメーカーが国内で自動車などの量産・販売を行う場合に同省へ申請し、安全基準に適合しているかどうかの審査を経て受ける認証だ。指定を受けて初めて国内での生産・販売が認められる。
2017年の同法改正で、不正な手段で型式を取得した場合は指定取り消しが可能になった。日野自動車がエンジンの排ガスや燃費性能でデータを改ざんした問題を受け、22年3月に同社の車のエンジンに初めて適用された。
同省は検査と並行し、ダイハツが現在生産・開発している28種における安全性や環境性能も確認する。基準に適合しているかどうかを同省が独自に調べる。
同省は基準の適合が確認できるまで、現行生産車を出荷しないようダイハツに指示した。国の独自検査としては異例の規模で、完了までには相当の時間を要するとみられる。問題以前の生産体制に戻る時期のめどは立たない状況だ。
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