
内閣府の有識者会議は2日、大手電力会社が競合する新電力の顧客情報を不正閲覧した問題を巡り再発防止に向けた提言をまとめた。小売部門をもつ電力会社と送配電子会社の資本関係を完全に分離する「所有権分離」を実現し情報を遮断するよう求めた。
同会議は電力業界を所管する経済産業省に提起した。政府がまとめる規制改革の実施計画への盛り込みを目指す。
大手電力会社の送配電子会社は2016年の電力自由化以降に参入した新電力の送配電も担っており、新電力の顧客情報も持つ。電力会社と送配電子会社が資本関係を残す現状は新電力の公正な競争を阻害するおそれがある。
22年6月時点で全販売電力量に占める新電力のシェアは2割程度にとどまる。
関西電力など少なくとも大手電力6社で22年12月以降、送配電子会社などが保有する新電力の顧客情報を漏らし、大手電力の小売部門が不正に閲覧していたことが相次ぎ明らかになった。電気事業法は送配電子会社の顧客情報に関し、小売部門との共有を禁じる。
政府は電力自由化に先立つ電気事業法の改正で、大手電力の送配電部門を小売りや発電などの部門と切り離すように義務付けたが、資本関係の分離までは求めなかった。

提言では情報管理の分離の徹底に必要な政省令や法の改正を要求した。同じ建物内で作業をしたり、同じ情報システムを利用したりするのをなくすよう義務付けることも提案した。
人事交流に制限をかけ、企業のグループ内での兼業の禁止や転職の制限をすべきだとも記した。情報管理などで違反した事業者への罰金制度の強化も盛った。
具体的な再発防止策として、悪質な情報漏洩・不正閲覧をした電力会社の送配電部門への事業許可の取り消しにも言及した。送配電事業者は経済産業相の許可なしでは業務を運営できない。
許可を取り消すことで、大手電力のグループ会社から新会社への分割や他社に譲渡するなどし資本関係を断ち切る。分割した新会社などには即日許可を出して電力供給に支障がないようにする想定だ。
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